次亜塩素酸水に関する中間評価がNITE(製品評価技術基盤機構)によって出され、様々な報道がなされています。あいの実でも今回の報道には当惑しております。最初にお伝えする点としてあいの実で使用している種類の次亜塩素酸水(混合方式:電気分解以外で生成したもの)のコロナウィルスへの有効性や安全性についての検証はまだ行われておらず、あいの実としても検証結果報告を待っている状態だということです。
追記
NITE(製品評価技術基盤機構)ウェブサイトにQ&Aが掲載されています。
https://www.nite.go.jp/information/osirasefaq20200430.html
今回の報道がいかにミスリードであるかがわかります。
Q:「次亜塩素酸水」は、新型コロナウイルスに効果がないのですか?
A:「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスに対する効果については、検証試験が継続中であり、まだ結論は出ていません。
現在、効果の検証作業を、関係機関の協力を得て進めているところです。塩素濃度や酸性度(pH)等の条件によって効果が変化しうるため、評価にあたっては、様々な条件での検証を行う必要があります。
今までのところ、新型コロナウイルスに対して一定の効果を示すデータも出ていますが※、2020年5月29日現在、全体として有効性評価を行う上で十分なデータが集まっていないことから、委員会において、引き続き検証試験を実施することとされました。今後、早期に結論を得ることを目標に、検証作業を続けてまいります。
※塩素濃度49ppm(pH5.0)で、20秒で感染力を1000分の1まで減少させた例がありました。Q:「次亜塩素酸水」で手指消毒を行ってもよいのですか?
A:今回の有効性評価は、アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、手指消毒は評価対象となっておりません。
「次亜塩素酸水」を手指や皮膚の消毒で利用することは安全面から控えるよう弊機構が公表したとする報道が一部にありますが、手指、皮膚での利用の是非について何らかの見解を示した事実はございません。
「次亜塩素酸水」の利用に当たっては、メーカー等の提供する情報等をよく吟味し、ご判断をいただければと存じます。Q:「次亜塩素酸水」の空間噴霧は行ってもよいのですか?
A:今回の有効性評価は、アルコール消毒液の代替となる身の回りの物品の消毒方法の評価が目的であり、空間噴霧は評価対象となっておりません。
「次亜塩素酸水」の噴霧での利用は安全面から控えるよう弊機構が公表したとする報道が一部にありますが、噴霧利用の是非について何らかの見解を示した事実はございません。
「次亜塩素酸水」を消毒目的で有人空間に噴霧することは、その有効性、安全性ともに、メーカー等が工夫して評価を行っていますが、確立された評価方法は定まっていないと承知しています。メーカーが提供する情報、経済産業省サイトの「ファクトシート」などをよく吟味し、ご判断をいただければと存じます。
現時点で、FDN(あいの実で導入している生成器販売会社)から説明を受けた上であいの実として理解している点をお伝えします。
有効性について
- 次亜塩素酸水の製法・濃度・品質等が多様すぎるため混乱を招いており粗悪なものもある
- あいの実の次亜塩素酸水は現在検証されているものとは製法が異なる混合方式
- 検証結果がばらばらで判断がまだできていない
あいの実でも様々な次亜塩素酸水が販売されていることには疑問を感じていました。塩と水だけでできる、遮光されていないボトルで市販されている、粉末で売られているなど、「次亜塩素酸水」という言葉だけが独り歩きしていたような印象を受けています。実際に「次亜塩素酸水」は幅広く使える言葉となっていて、次亜塩素酸水もピンキリであるということになります。
今回検証されているのは電気分解で生成された次亜塩素酸水となります。塩などを使って精製する次亜塩素酸水は有効成分が不安定で1~2日ほどしか持たないそうです。
あいの実で導入している生成器販売会社(以下、FDN)の方の話によると、あいの実のものは正確には「次亜塩素酸水溶液」というそうで混合方式によって生成されたものはハセッパー水という通称で呼ばれています。有効成分の量や安定性が市販のものとは段違いであるとのことです。
有効性評価を行った機関によって結果がばらばらで大きく異なることも次亜塩素酸水の種類の多さを示していると思われます。国立感染症研究所の次亜塩素酸水の検証試験では、新型コロナウィルスが99.9%不活性化したものがある一方、北里大学の検証試験では不活性化は見られなかったとなっています。よって引き続き検証試験が継続されることになっています。
今回検証試験に参加している北里大学では2006年にノロウィルスの不活化作用の検討がなされていますが、この中では次亜塩素酸水が効率よくヒトノロウィルスを不活性化しうることを示しています。
また、北海道大学が参加した検証では新型コロナウィルスの不活性化が確認されている検証結果も出ています。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/571040
安全性について
- 安全かどうかを評価する方法が無いため未だどんな検証も行われていない
- NITEは消毒液の安全性の一般論しか述べていない
- 当然安全であるといえる数値基準がある
NITEの報告も「安全性を評価する科学的な方法が確立していない」などとしていて、安全性も危険性も確定するにも至っていません。検証方法がないためまだ安全かどうか分からないので使用しないでくださいという注意喚起にとどまっています。
WHOやアメリカ、中国の機関の「消毒液の噴霧を推奨しない」との見解が引用されていますが、消毒液にはアルコールや次亜塩素酸ナトリウム(日本では消毒剤としてこの二つしか認められていない)が含まれており、これらを噴霧することは当然危険であり、消毒剤に関する一般論を述べているに過ぎません。
FDNによると、ハセッパー水の使用が安全であるとの判断に至った経緯として、
- 日本産業衛生学会による勧告で職場における塩素の許容濃度が0.5ppm以下である。ハセッパー水を1時間で4リットル噴霧したときの空間の塩素濃度が0.01ppmであった。この数値は労働衛生安全法の作業環境評価基準やアメリカ合衆国産業衛生専門官会議等の数値より格段に小さな数字になっている(噴霧しても問題ないとの判断)
- 日本の基準では水道水の塩素濃度は0.1ppm~0.4ppm プール0.4ppm~1.0ppm、WHOの基準では水道水の塩素濃度5ppm以下とされている(噴霧時に経口に入っても問題ないとの判断)
- ハセッパー水の動物安全性試験結果報告では「財団法人食品農医薬品安全評価センター」の評価で経口毒性だけでなく「眼刺激性試験」「皮膚1次刺激性試験」「皮膚累積刺激性試験」さらに「感作性試験」「細胞毒性試験」「変異原性試験」を実施しており、問題無しとなっている
報道について
- 報道される内容は断定的なものが多いが、有効性や安全性に関して未だ結論は出ていない
次亜塩素酸水は有効性は無い、危険であると断定して報道されているものがほとんどですが、実際のところNITEの発表では「今回の委員会では判定に至らず、引き続き検証試験を実施する」となっています。一部報道ではこうしたことを受けて表題を断定的なものから変更しているものもあります。
あいの実として
- 次亜塩素酸水の利用は個人の判断とする
- あいの実施設内噴霧は評価がでるまで無人の場所で行うものとする
次亜塩素酸水溶液の化学式や除菌の仕組み、あいの実で使用しているものは市販品ではなく高品質な次亜塩素酸水溶液ハセッパー水であることなどを勘案すると、市販の次亜塩素酸水を対象としたNITEの中間報告が、あいの実が生成するハセッパー水と同じものなのか、使用をやめるべきものなのか疑問のあるところです。
しかしあいの実としては、
・公の機関によって噴霧はやめてほしいとの勧告
・次亜塩素酸水の違いや実験データなどを全ての方に理解していただくのは難しい
といったことを考え、次亜塩素酸水の利用は個人の判断でお願いすることとします。
これまであいの実緊急事態宣言のなかで次亜塩素酸水の利用をサービス提供の条件としていましたが、これを削除します。次亜塩素酸水溶液の利用を引き続きご希望される利用者様は引き続きご利用ください。
あいの実の施設内での噴霧については、ある程度の結論が評価機関からでるまで、利用者や事務員がいる時間帯を避けて行うものとし、夜間など無人の場所での利用とします。
今後、ハセッパー水と同等のものである電気分解方以外で生成したもの(混合方式)の検証が行われることになっています。6月後半に検証試験最終報告が出ることになっていますので、その報告を待ちたいと思います。
有効性があるか疑問な次亜塩素酸水が散見されるようになってしまった現在、安全性の基準や製法の基準、次亜塩素酸水の名称を使ってもよい基準など、科学的な評価方法をいち早く確立していただくことを希望します。
次亜塩素酸水溶液の原理など
FDN
https://www.fdn-sendai.com/cont1/main.html
あいの実で導入している生成器の会社
FDNからの資料
NITEの報告を受けて 次亜塩素水溶液エンジェルウォーターについて
株式会社テクノマックス
http://www.tec-m.com/haccpper.html
あいの実で導入している生成器の開発販売している会社。さらに詳しい情報。